川べり散策

平成18年11月13日
 
 今日は日曜日。出かけることもなく、久々にのんびりと過ごした。ロッジのツェリンとケンザンを連れて、川まで散歩に出かける。途中にチョルテン(仏塔)がある。これは町や峠のいたるところで見かける。悪霊を鎮めるために立てられたともいわれている。必ず右回りに回らねばならない。

 川は浅瀬で、丸い石がごろごろしている。水は冷たく、透き通っている。ヒマラヤからの雪解け水であろう。子供たちが魚とりをしている。フルチンの子供までいる。手が切れるほど冷たいのに、裸で入っている。魚を手づかみで取る。これといった道具はない。6匹ほど、鱒のような感じの魚だ。寒かろうに。子供は元気だ。しかし歩いていると汗ばむような日差しである。

 帰りがけ、通勤路のペニスハウスの前を通りかかる。庭で奥さんが牛肉を天日に干している。ジャーキーでも作っているのであろう。「お茶を飲んでいけ」と言う。厚かましく、上がってお茶をご馳走になる。部屋には機織機が置いてある。別の部屋にはドラム・ヤンという三味線に似た民族楽器が置いてある。小さいながらも、小奇麗な家だ。「弾いて聞かせてくれ」というと、その主人が弾き語りをしてくれる。とても上手だ。目を閉じて聞いていると、遠い古の世界に引き込まれていくような、遠い山の彼方を漂っているような、心地よい響きである。このご主人、足が悪そうで、腰を曲げて歩いている。聞くと、16才の時高熱に犯され、このような状態になってしまったとのことであった。仏間に案内してくれる。7つの聖水、それに灯明まで灯っている。シンバルと太鼓まである。朝と夕、毎日3時間のお祈りをするそうだ。
確かに朝、通勤の時に聞いた覚えがある。敬虔なラマ信者なのであろう。奥さんに機織を実演してもらう。御礼の代わりに、100ニュルタムを置いていく。おばあさんに「ナメ・サメ・カディンチェ」と挨拶し別れる。畑を見ると、大根が植わっている。1本拝借し、今夜の大根おろしにする。ロッジに帰ると、牛が5頭、庭に侵入している。ツェリンを呼び、追い払ってもらう。夜は大根おろしにおかか、それに海苔と味噌汁。珍しく母親が同席し、ビールを1本サービスしてくれる。この母親、英語が話せないので、料理に専念し、決してお客のところに顔を出さない。ところが明日から宿代の集金のため、ティンプーに1週間出かけるとのことである。ということは1週間食事がないということだ。ご飯はお手伝いが作るが、料理は子供たちと一緒に作ってくれとのことであった。やれやれこれは大変だと思いつつも「心配ご無用」とあっさり引き受けてしまった。この奥さん、年はまだ31歳だという。ご主人とは20歳も違う。一体この夫婦、どうなっているのだろう。ご主人は、ラマ教の地方巡業のため3月まで帰ってこない。



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