タムジン・ツーリスト・ロッジ
   
平成18年10月20日


 ブータンで10ヶ月お世話になるホテルである。最初は1戸建てとも考えたが、設備環境ともに良好とはいえず、ホテル住まいを決意する。最初は小奇麗な別のホテルにしようと思ったが、なかなか要求が受け入れられず、結局、言うこと何でもOKのこのホテルにした。ホテルといっても実体はむしろペンションといったところだ。2室借り、1室はリビングに使用。バスタブ、衛星テレビ、直通電話も了解してもらう。おまけに事務所まで山道を通れば15分と至近である。ただ難は町外れにあることだ。町に行くにはタクシーを使うしかない。町といっても牛や犬が往来する日用雑貨が何とか揃うといった感じである。今はテレビもない、ラジオもない、新聞もない。あるのは大自然と満天の星と気が遠くなるほどの静寂だ。

時々聞こえるのは犬の鳴き声、道にあるのは牛の糞。通信事情が悪く,Eメールは殆んど通信不能。日本のようには行かない。しかし、このロッジを管理している家族はとても親切でいい人たちだ。4人家族で16歳と8歳の男の子がいる。それに15歳の女のお手伝さんだ。更に牛が1頭、犬1匹だ。よく働く子供たちで、巻き割り、洗濯、掃除、食事を運んだり家の修理など家族が一体となってロッジを切り盛りしている。朝起きると紅茶を運んでくれ、帰るとまた紅茶を持ってきてくれる。働くことを厭わない。私の部屋に興味があるようだ

   
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宿泊客は殆んど欧米人で、日本人はパロ、ティンプーまでで、ここまで来る人は少ないとのことだ。しかしそれはシーズンだけで、オフは閑古鳥である。

 このロッジは2002年に橋建設のためJICA関連の建設業者が借り切っていたそうだ。当時は風呂もなく、浴槽をコンクリートで作り、焼いた石を放り込んでお湯を沸かしていたとのこと。それからすれば隔世の感がある。

 敷地内には斜面を利用し、子供たちの宿泊小屋があったり、家族の隠れ家のような暖炉小屋があったり、牛小屋、犬小屋、それにお墓のようなものまである。当然、畑もある。とりあえず自給自足の出来る体制にはあるようだ。子供の作ったオブジェのようなものもある。ダーツといって矢のようなものを木の目標に当てて遊んだり、牛や犬と遊んだり自然の中でのびのび育っている。
 食事のときなどは、私の脇で日本語を覚えようと離れない。学校は近くだという。聞くと歩いて1時間半だそうだ。どちらか幸せなのかは解らない。この子たちには日本は別世界のように写るのだろう。
 私の部屋からジャカールの町が一望できる。かつてのブムタン王国の居城、ジャカール・ゾンも見える。今はブムタン県の県庁になっている。
 このタムシン・ツーリスト・ロッジで起こる出来事をタムシン・ロッジ便りとしてお届けする。


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