リオバンバのカーニバル

 

 カトリックの謝肉祭、カーニバルが始まった。復活祭(イースター)を基準に太陰暦で日程が決められるが、今年は2月21日(土)から24日(火)までが我が町リオバンバのカーニバルだ。暦では23、24日が祝日となっている。

 若者たちが女生徒や子供たちと小麦粉のような白い粉をかけ合っている。日頃、思いを寄せている子には大量の粉をかけているように見える。かけられた量によって人気の度合いが決まるのか、逃げ惑いながらも満足気である。パレードが始まると、最早際限がない。水鉄砲で水をかけたり、カリオカというスプレーで色々な色の泡をかけあったり、白い粉を頭に振り掛けたり、水風船を投げつけたりで、とてもそばには寄れない。頭から体中、粉まみれ、泡まみれ、水まみれだ。ちなみにカリオカは「リオっ子」という意味だそうだ。リオのカーニバルにちなんでの命名なのだろうか。

 パレードは、クリスマス頃から毎週末行っている代わり映えしない音楽と踊りだ。突然後ろからスプレー攻撃にあったり、車の中からいきなり水鉄砲の攻撃を受けたり、家の中から水風船を投げつかられたりで、とても我慢が出来ない。通りすがる車や家に向かって「バカヤロー」と叫びたくなる。

 これもカーニバルの行事だと思えば諦めざるを得ないが、この様な習慣のない我々にとっては楽しいお祭りとはとても思えない。後ろから、あるいは見えないところからの不意打ちの攻撃は、どう考えてもフェアーではない。主役は子供たちだが、どうも馴染めないカーニバルだ。

 

            粉だらけのカーニバル

 
 

             噴水池

 カーニバルといえば「リオのカーニバル」だ。1959年のブラジル・フランスの合作映画「黒いオルフェ」の舞台となり、一躍有名になった。カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した名作だ。仮面舞踏で名高いヴェネチアのカーニバル、ミモザの花に彩られた南仏ニースのカーニバル。カリブ海や南米のラテンの国々は、宗教行事のカーニバルで大賑わいであろう。

 日本でも浅草の踊り子たちのサンバカーニバルが有名だ。台東区長と故伴淳三郎が浅草の新しいイメージとして提案したのが始まりだそうだ。中年オヤジの嫌らしい視線で見に行ったこともあるが、今では「松健サンバ」とかいって、着物で踊るサンバもあるようだ。カーニバルの本場、リオでご披露に及んだとは恐れ入った。若者に人気の「ヨサコイソーラン」もこの類なのだろうか。

 グアヤキル公園の噴水池に子供たちが入って、水浴びをしていた。スプレーまみれの若い男女も飛び込んでいった。帰りがけまたもや、住宅街の家からいきなり水風船の襲撃にあった。それも2回。「顔を見せろ。卑怯者」と手を振り上げて怒鳴りたくもなったが、これも「幸運を呼ぶ水」と自分に言い聞かせ、濡れた頭で部屋に帰った。

 それにしても同じ「リオ」でも、リオバンバのリオとリオデジャネイロのリオではカーニバルの内容は大分違うようだ。

 

平成21年2月24日

須郷隆雄