エクアドル便り37号

下ネタもまた楽し

 

 エクアドルに来てから「おなら」が良く出る。原因はよく解らない。環境が変わったと言えば、3000m近い標高と食事だ。どうも標高に原因がありそうだ。大人は10.51.5リットルのおならを520回するそうだ。大腸で腸内細菌により分解される時にガスが発生する。腸間から大部分は吸収されるが、吸収し切れなかったものがおならとして出る。欧米では放屁よりゲップのほうが失礼とされている。牛のゲップが地球温暖化の原因のひとつとも言われる。そのうちゲップ税やおなら税が掛かる日が来るかもしれない。

事務所のルイスとカルロスとでよく出張する。標高4000m近くまで行くことも多い。寒さのため当然窓は締め切っている。「出物腫れ物ところ嫌わず」おならを我慢するわけにはいかない。多いときは30分おきに出る。何とも困ったおならだ。回数が多い分、臭いも少ない。しかし臭いに敏感なカルロスは「タカオ、昨夜は何を食べたんだ」と言いながら窓を開ける。日本には「出物腫れ物ところ嫌わず」と言う諺がある。我慢は体に良くないんだと説明するが、こればかりは理解されないようだ。言ってる本人も納得している訳ではない。「また出たよ」と言うと、カルロスが「タカ〜オ」と言いながらまた窓を開ける。今、標高とおならの関係を研究中だ。

  

      巨大なお尻                     ポルノ館

エクアドル人は決して背が高いほうではない。ラテン系はアングロサクソン系と違い、一般に小柄だ。女も日本人とそれほど大差はない。しかし何故と思えるほど良く肥えている。8割以上は、私の目から見ればメタボだ。子供まで肥っている。中年を過ぎれば、後ろから見ると、お尻が歩いているといった感じだ。腰にものを乗せても落ちないのではないかと思えるほど、巨大に張り出したお尻をしている。前から見れば、これもまたおっぱいが歩いているといったところだ。胸の谷間というより、巨大に張り出した山脈だ。それにもまして立派なのがお腹だ。胸の張り出しで一見お腹をカバーしているように見えるが、よく見ると小錦並だ。トイレに行ったときどうするのかと、あらぬ心配をしてしまう。おっぱいとお尻はまだしも、このお腹だけはいただけない。最初は興味本位で目を楽しませてくれたが、最近はちょっと食傷気味だ。小股の切れ上がった日本女性が恋しい。

リオバンバには映画館がない。時には名画でも見たいと思う。しかし、映画館もどきはある。朝夕の行き帰りの通りに「ミニ・シネ」と書いた小映画館がある。いつも暇そうに夫婦が代わる代わる客を待っている。しかし、入る人を見かけたことがない。初めて見つけた時、「ここは映画館か。何をやっているんだ」と聞くと、店のオヤジが「アダルトだ」と言う。ポルノ映画が専門のようだ。上映は午後3時からと7時からだそうだ。見放題で1ドル70セントとのことだった。朝夕の行き帰りにそのポルノ館を覗いてみるが、客の入る気配はない。しかしつぶれもせずに、毎日暇そうに客待ちをしている。エクアドルではコピーのDVDが1枚1ドルで売られているので、映画館に行く必要もなさそうだ。しかし、向学のために一度入ってみたいと思うが、未だに入っていない。

ディスコは結構ある。金曜の夜ともなると若者で溢れかえっている。中を覗くとミラーボールや七色の照明に照らされ、なにやら踊っている。この年になると入るのも躊躇する。「KARAOKE」と書いた店もある。カラオケは日本の生んだ文化なのだろう。時々行くピザ屋では「ドラえもん」や「悟空」などがかかっている。子供たちにはドラえもんが人気のようだ。「サザエさん」や「ちびまる子」を見たいと思うが、やってはいない。スペイン語のドラえもんには、ちょっと違和感を覚える。

仕事の関係に、愉快な3人組がいる。ESPOCH(チンボラソ工科大学)の同窓で、隣の郡グアノに住んでいる。年長格のマニュエル、ノビアがいるカルロス、それにまだ学生のアレクシスだ。マニュエルが会う度に「女は出来たか」と聞いてくる。「全然、ヌンカ」と応えると、「今度いい女を紹介する」と言っているが、未だにその気配はない。或る日突然、夜9時ごろに3人揃って我が家にやって来て、「マスターを知っている。面白いところがある。これから行こう。金を忘れるな」と言って、夜の街に繰り出す。ミラーボールに七色の照明、お尻が見えるほどのミニスカートのお姉さん方。怪しい雰囲気の店だ。ビールを飲みながら怪しげな踊りを見ている。いかがわしいビデオもかかっている。耳元で怪しげな誘いもある。金は全てこっち持ち。彼等を楽しませるために来ているようなものだ。しかし好意には感謝している。「どうだ、楽しかったろう」と言いながら、自分たちが十分に楽しんだようだ。しかしいい女の紹介は未だに実行されていない。

 日本では、酒を飲みながらの議論に疲れると、最後は下ネタの話になるのだが、エクアドルではせいぜいこの程度のことで気を紛らわせている。

 

平成21年4月22日

須郷隆雄