エクアドル便り9号

我が町リオバンバ

 

 エクアドルの最高峰、6310mのチンボラソ山を始め、5000m級のカリワイラソ山、トゥングラウア山、アルタール山に囲まれた広大な平地に人口13万のリオバンバがある。標高2750m、チンボラソ県の県都だ。エクアドルのほぼ中央にあり、交通の要衝ともなっている。バスでキトから3時間、グアヤキルから5時間、クエンカから6時間。「アンデスの廊下」と言われる南米縦貫道が走っている。登山家やトレッカーには魅力的な町でもある。小さいながらも歴史も古く、ネプチューン像のあるスークレ公園、ラ・コンセプシオン教会のあるコンセプシオン公園、カテドラルがあるマルドナード公園、サン・アントニオ教会のある4月21日公園など、コロニアル様式の建造物と美しい公園がある。4月21日公園は町の高台にあり、町が一望できるだけでなく、チンボラソ山をはじめ5000m級の山々が見渡せ、その眺めは壮大だ。その裏手の住宅街に私の住家がある。夜になるとライトアップされたサン・アントニオ教会が窓から見える。

 市場に行くと、肉、魚、野菜、果物だけでなく鶏に犬、豚まで売っている。泥棒市のような訳の解らないガラクタや、とても買う気にはなれない着る物などを売る店が軒を連ねている。ここはインディオが主役だ。買う人もインディオなら売る人もインディオだ。ちょっと危険を感じながらも、楽しい場所でもある。


 

     マルドナード公園とカテドラル

 

   4月21日公園とサン・アントニオ教会


 エクアドルはインディオが多い。インディヘナが25%を占める。インディヘナと白人の混血、メスティーソが55%、合わせるとインディオ系が80%を占めている。ヨーロッパ系白人は10%、アジア系とアフリカ系が10%となっている。人口は1300万人、国土は日本の4分の3、宗教はローマ・カトリックだが、インディオにはエヴァンゲリオというプロテスタント系も多いと聞く。日本でも馴染みのバナナやコーヒー、切花、エビが代表的輸出品であるが、原油や天然ガスはエクアドル収入の50%以上を占めている。

 エクアドルは国名が示すとおり赤道直下に位置し、アンデス山脈が南北に縦断し、西に太平洋、東にアマゾンが広がる。こうした地勢から国土はアンデス高地部(シエラ)、アマゾン低地部(オリエンテ)、海岸部(コスタ)およびガラパゴス諸島の4つに分けることができる。シエラは「火山通り」とも呼ばれ、4000〜6000m級の山々が連なり赤道直下にありながら、アンデスのフィレンツェと言われるように「永遠の春」である。年間の気温の変化より1日の気温の変化のほうが大きい。オリエンテはアマゾンの北西部入り口に当たる高温多湿の熱帯ジャングルだ。高温多雨で手つかずの自然が多く残されている。首狩り族がいまだに生息しているとのうわさもある。コスタは太平洋に面した海岸部だ。赤道直下の熱帯に属しながら、フンボルト海流の影響で比較的穏やかな気候と降雨に恵まれ、バナナやコーヒー、エビなどエクアドルの輸出品の多くを産出している。ガラパゴスは言うまでもなく、ダーウィンがビーグル号で航海中にめぐり合った島であるが、フンボルト海流の影響で暑いはずのガラパゴス諸島にさえペンギンを棲まわせている。

 紀元前3000年ごろから花開いたバルデビア文明、更にインカ文明へと引き継がれた長い歴史と文化を持つエクアドルは、多様な気候と風土を有し、多くの謎を秘めた魅惑的な国のように思える。どのような2年間が待っているのかは解らない。リオバンバを拠点にこの魅惑的な国の多くを知ってみたい。特にインディオとは一体何なのかを。インディオの血の濃いホセ、その血の薄いルイス、そしてほぼ中間のカルロス、この同僚と共にエクアドルを学んでみたいと思う。

 

平成20年11月20日

須郷隆雄



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