ビジャマリア情報11
2004.8.15
Villa Maria, Cordoba, Argentina
須郷 隆雄
今回は衣食住3回シリーズの2回目、住について報告します。
アルゼンチンはご承知のとおり、ヨーロッパ系の移民が多く、国によって住居の形態が変わります。南部はイギリス、ドイツ系が多く、北欧的な2階建ての木造建築が殆んどです。中部はスペイン、イタリア系が多く、南欧的な1階建てのレンガ造りです。北部は先住民とアラブ系の影響を受けた土造りの家が多いように思います。
南欧的レンガ造りの家は、隣と壁で接しており、境界がありません。聞くところによると壁の中心線が境界とのことです。日本のマンションと一緒です。しかし建替えの時はどうするのか、考えてしまいます。歩道までが所有地です。従って、歩道の掃除は朝の日課です。しかしごみは全て道路に掃きだします。合理的なようで、ちょっと疑問も感じます。歩道にテーブルを出してお茶を飲むのはいっこうに構いません。レストランや喫茶店が歩道にテーブルを出していても問題は無いのです。住宅には、表に小さなハルディンという庭、中にはパティオという中庭があります。その中庭にアサード用の囲炉裏があり、パーティーは概ねそこで行います。駐車場は家の中です。道路が碁盤の目のようになっているので、北も南もありません。太陽好きの日本人とは違って、北向きという感覚は無いようです。いつもブラインドを下ろし、部屋は至って暗い。町並みは街路樹がいたるところに植えられており、とても綺麗です。犬の多いのにも驚きます。歩道に我が物顔で寝ております。寝るのは猫と思っておりましたが、こちらの犬は良く寝ています。やはり犬もアルゼンチンです。市街の住宅 郊外の住宅
国土の広さもあって、住宅は格安です。ここビジャマリアでは、一坪約4000円、500万円で立派な家が出来ます。1000万円で豪邸です。ウサギ小屋生活に慣れた私にとって、何もかもが贅沢に見えます。慎ましさの中にも優雅さとゆとりを感じます。日本とアルゼンチンの生活、どちらが好いとは言えませんが、一考の余地は有ります。しかしこれは中心街の話し、郊外に出れば舗装はされていないし、洗濯物が干されていて、埃っぽく所得の格差を感じます。
アルゼンチンの男はよく家事を手伝います。アサードのように男料理が多いせいかもしれません。しかし、テーブルの座る位置は決まっています。上座は亭主、下座が主婦、亭主の右手、左手が来客となっています。レディーファーストでありながら男の権威も守られています。そして家族第一主義です。誕生日、結婚記念日その他家族の行事が優先されます。仕事はその次です。平気で約束を破ります。彼らには罪の意識は無いようです。
アルゼンチンには、高層住宅が沢山あります。しかも20階、30階のペンシルビルが天に向って伸びております。日本人感覚として、とても不安で住む気にはなれません。地震がないせいでしょう。その為か、建築技術は日本に比べ未熟のようです。また、アルゼンチンにはゴシック風の立派な建物が沢山あります。教会の豪華さには目を見張ります。しかし、近代的な建物は殆んど有りません。中世の遺産で食っているような気がします。
豊かさと貧困を併せ持つ国、それがアルゼンチンです。1割の富裕層が全所得の50%以上を所有し、6割近くの国民が貧困に喘いでいる極めてアンバランスな国です。これは政治の問題でも有ります。これを解決しない限り、アルゼンチンの発展と安定はありません。
日本人感覚として、この貧富の差が、何時か暴動に繋がるのではないかと危惧しています。しかし、アルゼンチンは不満を持ちながらもどっこいおおらかに生きております。