ビジャマリア情報X

2004.3.30

Villa Maria, Cordoba, Argentina

須郷 隆雄

 今回は「アルゼンチンってどんな国?」というテーマで報告します。

 アルゼンチンは1516年にスペイン人が上陸しスペインの領土とするが、1816年に共和制国家として独立する。1946年にペロン政権が成立し、1976年にクーデターにより軍事政権に変わり、1982年マルビナス(フォークランド)紛争を経て、1990年メネム政権成立により市場経済化を推進したものの経済危機を招き、2001年にはデラルア現大統領が債務負担の増大によりデフォルトを宣言し、各国に波紋を投げかけております。しかし、政情も落ち着き経済も回復基調に向かっているところです。

 通貨はいうまでもなくペソです。1ペソは100センターボで、2001年の為替レートの変更までは1ドル1ペソでした。今は1ドルが約3ペソです。この変更により輸出は増加したものの輸入品が高騰し、海外への渡航もまま成らなくなった次第です。

 国土は2782000kuで日本の約7.4倍です。東西1,000km、南北4,000kmと広大なため、北部と北東部は亜熱帯で雨量が多く、四季の区別は殆んど有りません。ブエノス・アイレスやコルドバを中心とする中部はパンパ地帯で雨量が少なく温暖で比較的快適な地帯です。見渡す限りの平原で大豆畑、小麦畑、トウモロコシ畑それに牛や馬の牧場が地の果てまで続いています。山は全く有りません。南部はパタゴニアといわれる地帯で観光資源としては素晴らしいところですが、イギリス系が多く土地は痩せ気温は低めで、候の厳しいところです。

 人口は3,660万人でブエノス・アイレスに300万人、周辺を入れると1,000万人が住み、首都圏に人口が集中しています。ちなみにコルドバ市は100万人、ビジャマリア市は10万人です。欧州系が殆んどで、アボリジニ人、パタゴナスと呼ばれる先住民は3%に過ぎません。特にスペイン、イタリア系が多く8割ほどを占めています。コルドバ州はイタリア系が多く、特に私の住んでいるビジャマリア市は8割方イタリア系です。敬虔なキリスト教者でカトリックが85%を占めております。在留邦人は約1万人、日系人は2万人というところです。

 土日は休みですが、祝日は10日あります。マルビナス戦没者記念日、国旗制定記念日、独立記念日、サンマルティンの日、聖母受胎告知の日などがあります。サンマルティンはアルゼンチン独立の英雄で、全国至る所に銅像があります。仕事の時間は、官庁銀行は95時ですが、商店その他は108時で昼休みは2時間以上取ります。地方では12時から4時までは全ての店が閉まり、暑さを凌ぐせいもあるのでしょうが、自宅に帰りゆっくりと昼寝つきで昼食をとっているようです。

            

      地の果てまで続く国道          サンマルティン像

 交通機関は鉄道、バス、地下鉄、タクシーがあるわけですが、鉄道はかつては42000キロの鉄道網を持つ世界有数の鉄道国であったのですが、長年に亘る多額の赤字を重ねた結果、今では長距離旅客列車の殆んどは運行停止になっています。日に二回程度穀物や家畜を輸送するのに使っているようです。タクシーは初乗り料金が1.2ペソ、バスはどんなに乗っても0.8ペソ、地下鉄は0.7ペソです。但し地下鉄はブエノスしか走っていません。全て日本では考えられないほどのぼろ車です。ちなみに1ペソは約40円です。

 さて、アルゼンチンの印象は、日本とは全てが逆というのが実感です。日本とは全くの地球の裏側にあり、時差も12時間あり、昼と夜、夏と冬が逆です。車は右、人は左、車優先社会です。言葉はいうまでもなくスペイン語、主語と動詞の位置は日本語とは逆、アクセントも逆です。こちらは家族中心主義、アミーゴ優先です。Yo Primero(自分中心)Hasta Manana(仕事は二の次)、休暇はきちっと半月から1ヶ月は取る。日本の会社中心、仕事中心、家族崩壊とは大きな違いがあります。南欧的な明るさと開放的で妊婦まで腹出しルック、しかもとても親切、挨拶はいつもキッス、町にはキッス、キッス、キッスで溢れている。隣は何をする人ぞの日本とは大違い。結婚と葬式と正月だけが宗教心の日本とは違い皆敬虔なカトリック、顔立ちも違う。アルゼンチンは資源は豊富、農作物も豊富、観光資源も人的資源も豊富です。豊か過ぎて必要なものは輸入すれば良いという考えが技術革新を遅らせたのかもしれません。日本のように資源のない国、貧乏に耐えた国は、ある意味では幸せだったのかもしれません。生活習慣、文化水準はとても高いように思います。とにかくバロック建築の中世と現代が混在したようなアンバランスな国でもあります。

 アルゼンチンは同じアジアでも中国人や韓国人に対するのとは違い日本に対しては極めて友好的です。ちょっとアンバランスではありますが明るく陽気で愉快な国、それがアルゼンチンです。
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