ビジャマリア情報Y

2004.4.15  

Villa Maria, Cordoba, Argentina  

須郷 隆雄  

 ワインの里、メンドーサについて報告します。

 メンドーサは、ブエノスアイレスから1,000キロ、ビジャマリアから600キロ西のチリとの国境に接したアンデス山脈の麓にある人口80万人のワインの町です。コルドバに次ぐほどの大きな町ですが、街路樹が豊富でとても静かな町です。チリに近いせいなのか、インディオの血が混ざっているせいなのか、色は浅黒く髪も黒くメキシカン的な顔立ちの人を多く見かけました。

 雨が少なく乾燥し、アルゼンチンワインの大半はここで生産されています。また、アンデスの雪解け水が町を流れ、水の美味しいところでもあります。丘陵地にはブドウ畑が一面に広がっていますが、耕作に利用されているのは3割程度のようです。アルゼンチンは国土が広いせいも有り、農用地の2割程度しか耕作されていません。もったいない限りですが、これがアルゼンチンの農業のやり方です。国土の広さから言えば、少なくとも1億人くらいの人口が必要に思います。農業、工業、経済全体を活性化するためにもこの程度の人口と労働力が必要に思えます。1億人政策を取ってはどうかと話しています。

           

   ワインボデガ             アンデス山脈

 アンデス山脈の最高峰アコンカグアが聳えています。7,000メートルほどあります。そこに向かって今は使われていない線路が永遠と延びています。かつては鉄道王国であったということがよく解ります。しかし勿体ない話です。バスに揺られながら、アンデス山脈にトンネルを掘りチリとアルゼンチンを鉄道で繋ぎ、チリに巨大な貿易港を造り、世界の人口の半分がいるアジアに向けて南米の農産物や鉱工業製品を輸出したら、アルゼンチン始め南米の経済も活性化するのではないかと夢のようなことを夢うつつに考えていました。

 途中にインカ橋という自然が作った橋を見ました。そこには珍しく温泉が湧いていて、かつてこれが作用して氷河を溶かし自然の橋が出来上がったとのことです。若者がパンツ一丁で温泉に入りはしゃいでいましたが、日本ならすぐに温泉場になるのですが、ここではそのような考えは無いようです。

           

   永遠と続く線路               インカ橋

 アンデス山中のチリ国境には大きなキリストの像が立っており、双方に国の看板と国旗が立っているだけで検問はありません。あるのはチリ側に1軒の売店があるだけです。私も一歩隣国チリに足を踏み入れてみました。チリ側に売店があり、アルゼンチン側には無いことが今のアルゼンチンの状況を反映しているようにも思えます。チリ人はよく働きます。アルゼンチン人は豊かさに胡坐を掻きすぎてとても鷹揚です。


       

       国境のキリスト像             アンデスへ

 ホテルでワインを飲みながら、アルゼンチンにはこんなに素晴らしいワインがあるにも拘らず、日本で売られているのはチリワインばかり。これは一体どう云うことなんだ。アルゼンチンの将来を考えているうちに悪酔いをしてしまいました。

 考えさせられることの多いメンドーサの旅でした。

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