ビジャマリア情報Z
2004.5.5
Villa Maria, Cordoba, Argentina
須郷 隆雄
遅ればせながら、派遣先並びにアルゼンチンの学校事情について報告します。
私は今、JICAからEscuela Superior Integral de Lecheria(略称ESIL)に派遣されております。ESILを直訳すると乳製品総合上級学校ということになります。
私は乳製品技術高校と言っているのですが、実際はアルゼンチンのSecundaria (中等学校)を卒業後5年間学ぶ学校です。実質日本の大学といったところです。
ここで主に酪農家及び中小乳業の経営指導を行っております。
ESIL本校 ESIL教育学部
ビジャマリアは人口8万人の小都市です。首都ブエノスアイレスからは西に560キロのところにあります。まさにパンパのど真ん中で山は一つもありません。見渡す限りの農地と牧草地です。酪農、畜産が中心で、他に大豆、落花生、玉蜀黍畑が広がっています。ここはイタリアからの移民が多く8割方イタリア人で比較的裕福な町です。この酪農地帯の真ん中に我が校があります。
我が校ESILは乳製品企業の出資により1967年に創立された40年足らずの新しい学校です。学生数は3000人、教員数は約200人で乳製品技術に特化した人材育成を行っている専門教育機関です。牛乳乳製品の試験分析、研究開発や中小企業経営指導も行っております。また、ビジャマリア国立大学と一体になった教育を行っており、日本でいう高校を卒業した学生が5年間在籍し学んでおります。ESILには食品科学、農業技術、体育教育の3部門があり、4年間ここで学び後の1年はビジャマリア大学で学んでおります。またESILはESIL財団によって運営されており、セクンダリア(中等学校)も併設しております。午後2時ごろまではセクンダリアの生徒が使い、夜10時ごろまでは大学生が使用しています。学生と酪農家実習 乳業工場主とのセミナー
さて、アルゼンチンの教育システムですが、5〜6歳までの1年間はハルディンという幼稚園に通います。6〜12歳までがプリマリアという小学校に通います。これは日本と同じです。12〜18歳まではセグンダリアという中等学校に通います。しかし、12〜15歳までの3年間は日本の中学校に相当するもので、15〜18歳までがいわゆる日本の高校に相当するものです。そして、18〜23歳までの5年間が専門学校、短大、大学に相当する教育が行われております。しかし教育設備は十分ではなく、図書館にも本は少なくコピーされた資料が沢山あります。学生もコピーした本を使っており、こちらではコピーが大流行です。お国の苦しい状況が窺えます。ちなみに授業料は小学校が月1600円、中等学校が1920円、大学が2800円です。安いように見えますが、こちらの所得からすれば必ずしも安いとはいえません。
学校では授業は一般的に3月から始まり、7月9日の独立記念日から2週間が冬休み、そして12月8日の聖母受胎告知の日頃から2月までの約3ヶ月近くが夏休みです。
アルゼンチンの子供達には受験戦争という言葉は通用しないようです。広大な大地でおおらかにしかも楽しく学生生活を送っているように見えます。