ビジャマリア情報\

2004.7.1

Villa Maria, Cordoba, Argentina

須郷 隆雄

 今回から3回シリーズで、アルゼンチンの衣食住について報告します。

 先ずは食について、アルゼンチンの食文化と食習慣を報告します。
アルゼンチンはご承知のとおり、国土が広く、世界有数の農業国でありますので、食料は豊富にあり価格も極めて安いです。しかし、日本ほどバラエティーに富んではおりません。また、食べ物に対して神経過敏でも繊細でもありません。大量にしかも大雑把にそして時間をかけて楽しむというのがアルゼンチンの食事です。

アルゼンチン人は1日5食食べると言われております。朝食は概ね7時頃パンとコーヒーと簡単なデザートで済ませます。10時頃マテ茶とクッキーで、いうなればコーヒーブレイクです。昼食は12時から2時頃まで自宅に帰り、家族と一緒にスパゲティーやパスタなど時間をたっぷりかけて、昼寝つきでとります。5時頃またマテ茶とクッキーで間食です。夜は大変です。10時頃から12時過ぎまでアサードとワインで大賑わいです。とにかくお喋りが大好きな国民です。家庭でもそうですが、特にレストランではエントラーダ(前菜)から始まり、プラトス・プリンシパレス(主菜)主には肉料理です。そしてポステュレ(後菜)主にはアイスクリームやプリンなどのデザート類です。それも半端な量ではありません。ワインは23本空け、そしてお喋りお喋りです。ですから皆良く太っています。

味はどうかというと、日本のように繊細なものはありません。極端に甘いか塩っ辛いかです。中途半端な味はありません。後はレモンで調整です。国民性を良く現した味です。慣れるには相当時間がかかります。価格はとにかく安い。いくら食っても大阪のように食い倒れることはありません。食料大国です。

 アルゼンチンといえばアサードです。アサードとは焼いたものを意味しますので、魚でも鳥でも焼けばアサードですが、やはり牛肉です。家庭には囲炉裏があって、そこで炭火焼です。塩をかけただけで12キロは食べます。日本のような霜降りは有りません。骨付きで硬くとにかく顎が丈夫になります。食べて疲れてしまいます。クリオージョ(農夫)の国でも有りますが、ガウチョ(牧夫)の国です。郷に入れば郷に従えで、今はアサードが大好きです。 

南米の飲み物といえばマテ茶とワインですが、マテ茶にはインディオ伝説があり、貧しいインディオが女神にパンの施しをしたお礼にマテ茶の木を頂き、それが広まったというものです。器にマテ茶と砂糖とお湯を入れストローのようなもので回し飲みをします。味は美味しいとは言えませんが、慣れると結構いけます。この国の人は何処へ行くにもマテ茶の茶器セットを持って出かけます。車の中でも公園でも何処でもマテ茶の回し飲みでお喋りです。我が校ではティーバックはOKですが、マテ茶の回し飲みは禁止されております。お喋りが弾んで仕事にならないとのことです。日本ではチリワインが人気のようですが、こちらのワインはとても美味しいです。1100円位からあり、庶民は200円位のものを飲んでいるようです。招待を受けるとワインを1本提げて行くのが習慣のようです。

                

     アサード               愛しのアナリア

 世界的にアイスクリームは人気のようですが、アルゼンチンのアイスクリーム好きは半端では有りません。とにかくアイスクリーム屋が至る所にあります。そこで子供からお爺ちゃんまで顔中アイスクリームにして食べております。見ていると滑稽でも有ります。どこかの国のバレリーナがアイスクリーム好きで首になったという話がありますが、こちらの国はスタイルよりも食べることです。太ることは気にしません。子供は皆可愛いです。キュウピーのように可愛く1日見ていてもあきません。しかし、この子の親がこれと疑うほど変化します。他人のことは気にしません。自分の思うように進んでいく、愉快な国です。

 食文化と食習慣にはしっかりとヨーロッパ人の遺伝子が引き継がれています。夜のパーティーには女性はドレスを着てダンスをし、一品料理ではないフルコースを食べ、お喋りをし、夜が明けるまで楽しんでおります。早飯早糞芸のうち、食事は黙ってと教えられた日本とは大違いです。どの国にも長所と短所はありますが、文化の違いを感じます。今一度日本人の生き方が幸せなのかどうか考える時かもしれません。アルゼンチン人は日本を尊敬しています。しかしヨーロッパ人(白人)としての誇りも感じます。日本人(黄色人種)はまだまだ尾?骨に後進性を残しているようにも思えます。

 よく食べ、よくの飲み、よく喋り、よく太った愉快な国からの報告でした。
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